【授業紹介 第六弾!】多文化音楽教育概論by赤羽美希先生

 この講義は、音楽文化をめぐる「多文化教育」の概要と、その実践的指導法を学ぶことを目的としています。多民族国家のアメリカでは、早くから「マイノリティの文化を(排除するのではなく)知ろうとし、理解し、受け入れる態度を生徒に身に付けさせる」ための「多文化教育」に取り組んで来ました。世界全体のグローバル化の流れを受け、日本でも近年この「多文化教育」への注目度が上がっています。

 本講義では、まず日本の中の多文化、多様性について理解を深めた後、海外の音楽文化へと視野を広げていきながら、同時に、実際の指導法についても考えて行こうというものです。


 そうした全体感を踏まえたうえで、今日は、埼玉県出身の2人が「浦和まつり」と「久喜提灯祭り」について教えてくれました。

浦和まつりは、盆踊りを踊りながら市内を練り歩くお祭りだそうです。浦和市は2001年に大宮市、与野市と合併してさいたま市となったため、各地の特色を歌に残そうと、作詞は公募で決定し、都はるみが歌った録音を流しながら踊るそうです。歌詞はなんと5番まであるとか!それぞれの地名や地域の魅力を歌っているということです。


 
久喜提灯祭りは、久喜で230年以上も昔から行われている伝統のお祭りのようです。日本一の提灯山車と言われていて、一台になんと400個も提灯がつけられているそうです。朝5時からお祓いをして提灯を組み立てて…と言う作業があり、この作業に参加する地元の生徒は、公欠になると言うことでした。地域に根差した芸能と言うことがうかがえますね!赤羽先生に感想を聞かれて、「自分が親しんでいたお祭りが230年以上も歴史があるとは知らなかった。調べるほどに、大切に伝承されてきた経緯も知れた。もっと世に広めたいと思った。」と地元への愛を語っていたのが印象的でした。

 赤羽先生は、学生に調査と発表をしてもらった目的をこのようにお話しくださいました。

 「発表者自身には、調査した地域について知識を深めてほしい。ただそれだけでなく、自分が将来指導的立場に立った時、自身が感じた感動や興味を聴講者に共感してもらえるような内容、発表方法を意識してほしい。そうでないと、単なる知識の伝達で終わってしまいます。異なるバックグラウンドを持った人たちと『仲良くしたい』あるいは『私も仲間になりたい』というような感情を聴講者の中に呼び起こすにはどうしたら良いか、そこが重要です。また、聴講した側は、まず新しく知った音楽や文化に興味を持てるようになってほしい。そして、どういう発表ならその文化により親近感を持てるようになるかということを、発表者にフィードバックしてあげてほしい。それをお互いに繰り返すことで、多文化教育とその指導方法の両面を学ぶことができるはず、と思っています。」


 異なるバックグラウンドの人が互いにかかわりを持つ現代にあって、今まさに求められている講義だと思いました。次回からは、海外へと視野を広げて行くそうです。

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赤羽美希プロフィール
音楽家。奈良女子大学文学部(教育文化情報学専攻)卒業。東京藝術大学大学院音楽研究科終了。コミュニティ音楽プロジェクト「うたの住む家プロジェクト」「ザウルスの音楽ワークショップ」を主宰。多様な人との音楽創作ワークショップを企画・実施。保育園や老人ホーム、学校等の委託による音楽遊び・創作ワークショップも多く行う。現在は、教育・研究活動にも携わり、実践・研究・教育の幅広い分野で精力的に活動している。国立音楽大学コミュニティ音楽コース、聖学院大学児童学科、東京音楽大学音楽教育専攻、和洋女子大学非常勤講師。主な出版物に『たのしい楽器あそびと合奏の本』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)、『心ふれあうセッションネタ帳 for Kids』寄稿(音楽之友社)、『子どものうた弾き歌いベスト50 注釈付き』編曲・制作協力等。

執筆者:事務助手 福本カナコ

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