2019年度 卒論発表会がありました
1月23日(金)に卒論発表会がありました。
中国からの留学生のAさんは、重慶市の音楽教育環境全般をふまえた上で、現在市内にある民間音楽学校の現状を調査し、将来の可能性を示唆しました。筆者としては中国の教育というと直ぐに『国家による英才教育』をイメージしまいますが、Aさんは、社会の経済発展や教育カリキュラムの改革などの影響から、音楽は、広く、一般家庭の子女の習い事へと変わりつつあり、教育的視点が今後重要になると言っていました。
未知の中国での音楽教育について話してくれました! |
新年度から音楽教諭として働くことが決まったBさんは、「日本歌曲の指導法」について研究しました。指導要領によってどの出版社にも掲載が義務づけられている日本歌曲の共通教材全7曲(「花」「夏の思い出」「浜辺の歌」「赤とんぼ」「早春賦」「花の街」「荒城の月」)の中に、認知度の低い曲があることに気付き、そうしたに認知度の差がどのようなもので、どの程度あるのか、またなぜ生まれるのか等々を、アンケート調査に基づいて解明しました。さらに、比較的認知度の低い2曲を選び、指導計画を考えました。7曲すべてを知っている人は少なくなっているそうです。Jポップやオリジナルの合唱曲など、生徒たちが共感しやすい歌詞が多くあり、それらを共通教材にしたいと考えている教諭が多くいる現状に、彼女は「日本の情景や日本語の美しさをもつ日本歌曲が受け継がれていってほしい」と言って締めくくりました。
みなさんはいくつ共通教材の曲を知っていますか |
OSK日本歌劇団(以下、OSK)の大ファンであるCさんは、宝塚歌劇団やOSK日本歌劇団などの、少女歌劇団について研究しました。2つの少女歌劇団の歴史と変遷、上演内容の比較を通して、それぞれの個性を明らかにするだけでなく、「OSKの経営戦略を立てる」ことを試みていました。上智大学との単位互換制度を利用して学んだマーケティングについての知識を生かし、パッケージ戦略(ポスターデザインの改善)、ダブルキャスト制(2:1で新人とベテランを混在させる)、フリーペーパーの刊行(宣伝、周知)などを提案していました。
在学生もたくさん聴講に来てくれました |
Dさんは自分の母校の前身である同志社女学校(明治9年開校)の音楽教育について研究しました。同志社女学校は、新島襄によって「良心」を持った人を育てる学校、として建てられたそうです。明治期の女子教育が「女紅場(算術・裁縫・養蚕などを学ぶ教育機関)」や良妻賢母主義の「高等女学校」が主流だったことを考えると、同志社女学校は当時としてはかなり先進的な、独特の教育方針を掲げる学校だったはずです。また、アメリカン・ボード(アメリカの宣教師を派遣する団体)の出資を得て創立されたにも関わらず「ミッションスクール」ではなく、「良心を育む為にキリスト教を学ぶ学校」であったことも同校の音楽教育に影響しているそうです。キリスト教を学ぶ為に賛美歌、オルガンなどの音楽教育が盛んに行われ、他にも、当時公立の小中学校のカリキュラムからは外されていた和琴(わごん)を教えるなど、音楽を広く教育に取り入れた学校だったことが明らかになりました。
渡辺先生も色々な発表に興味深々の様子でした。 |
どの発表もとても充実していました。また、研究動機から研究テーマ、内容への繋がりが自然で、とてもわかりやすかったように思います!!
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