第2回 社会人特別講義 宮田順子先生

第2回目は、6月7日(水)にあり、今回のテーマは、『これからの働き方~音楽+α~』でした。

講師の先生は、<パラレル・ワーク>と称して、2つの職業をどちらも本業としたライフスタイルを実現されています。声楽家として演奏活動や声楽やピアノの講師をなさる一方、税理士資格保有者として会計事務所にお勤めです。「演奏家として生きるなら、それに専念する。」「仕事を取るなら、音楽はアマチュアとして活動する。」など、どちらか一方しか仕事にはできない、と思いがちですが、世間ではこのようなスタイルが浸透しつつあると先生は仰っていました。
初めて聞く<パラレル・ワーク>の世界とは…?
突然ですが、皆さんに質問です!

Bさんの歌のリサイタルの経費は以下の通りです。500席のホールでのリサイタルですが、いくらのチケットが何枚売れれば採算がとれるでしょうか。

◎経費一覧
ホールの貸借料(付帯設備、グランドピアノ使用料含む)    350,000
ピアノ伴奏代                                                                       200,000
チラシ・プログラム印刷代                                                    300,000
その他諸経費                                                                          50,000

こちらは、講義の途中で小さなグループになってそれぞれに考えてもらった課題の一つです。ちなみに私は、これらの経費が自己負担にならなければいいと考えて料金設定をしました…
小グループに分かれて話し合い中
学生の様々な答えに対して先生は、「そもそもなぜ採算をとる必要があるのか」「その利益は何に使うのか」と質問されました。学生は、「打ち上げ代に回します」「次回の演奏会の経費に回します」などと答えていました。

皆さんは、何に使いたいと考えますか?

学生さんにも発言してもらいました
そして、学生による発表後の先生の言葉にハッとさせられました。それは・・・、
音大生の「当たり前」を覆した瞬間
誰も人件費と言いませんでしたね。誰もその利益をギャラとしてBさんに支払うと言いませんでした。この質問で考える時にもっとも大事なことは、自分がプロとしてギャラをいくら取るのか。自分に見合う報酬がいくらかを考えることです。聴衆も満足し、自分にも利益がある値段を考えることなのです。

私自身、自分の演奏会のチケットが高すぎては誰も来てくれないものだと思っているので、ホール代などの経費が自己負担にならないようにさえすれば、報酬がなくても構わないと考えていました。聴衆がいて、演奏さえできれば満足で、自分の利益や人件費については1ミリも考えていませんでした。自分がギャラを取るなんて無理」と最初から諦めて演奏会を主催・企画している音大生・音大卒がいかに多いかということがはっきりとわかった瞬間でもありました。

目からうろこの一幕でした…
先生はこのお話を通して、税理(お金)の仕事が音楽とは全く無関係ではないということを伝えたかったのだと思います。そして、税理士の資格を得て、演奏する面からしか見えていなかった視点が、経費の視点からも見られるようになり、視野が広がったとも仰っていました。まさに目からうろこの一幕でした。

次回は、712日です。講義内容は未定ですが、楽しみです!

執筆者:事務助手 福本カナコ

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