第4回 社会人特別講義 ジョン・健・ヌッツォ先生

こんにちは!あと1か月で今年も終わってしまいますね‥。秋は、本当にイベントが多く、音楽教育研究室もバタバタとし始めました。皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。

さて、10月3日(水)に今年度から、音楽教育専攻の客員教授としていらしている、ジョン・健・ヌッツォ先生が、社会人特別講義でお話しくださいました!!大河ドラマ『新撰組』のテーマソングを歌ったことでも有名なあの方です。

膝の半月板を骨折されても立って講義してくださいました!

ヌッツォ先生は、東京生まれのアメリカ国籍で、二子玉川にあるSt. Mary's International Schoolに通っていました。60か国以上の人たちと一緒に学生生活を送るうちに、東京にいながら既に世界を感じていたそうです。今日に至るまで様々な国で学び、仕事もしてきましたが、「僕らは友達」という感覚は変わらなかったと仰っていました。

高校を卒業後、経済学を学ぶためにアメリカのチャップマン大学に進学したヌッツォ先生には、運命の出会いが待っていました。大学の先生に美声を披露する機会が有り、なんとそこでいきなり「経済学ではなく音楽専攻を半年間やってみないか」と提案されたそうです!

時折歌ってくださいました。美声に酔いました‥

日本の大学での転専攻は難しく、まして、「とりあえず半年間」などということはあり得ませんが、ヌッツォ先生は言われたとおりに合唱を学び始めました。初めは他の学生が既に何か国語もの歌を歌いこなすのに、自分はミュージカルの経験しかなく、追いつくのに苦労したと仰っていました。それでも、発声を本格的に勉強し、声がクラシックに近づけば近づくほど色々なジャンルの歌が歌えるようになり、本当に夢中で歌の勉強をなさったそうです。

卒業後は日本に帰国しましたが、日本の大学を卒業していなかったために、ウィーンのコンクールで優勝するまでの8年間は、全く歌う機会を得られなかったそうです。アメリカで、3000人のお客様を前にバッハの《ロ短調ミサ》を歌ったことを思うと、どんな小さな役もオーディションで決まるアメリカと、先生の紹介や推薦で仕事が決まる日本との違いを感じたそうです。それでもウィーンでの優勝をきっかけに、ローマ法王や天皇皇后両陛下の御前で演奏する機会にも恵まれ、音楽には国や民族の垣根がないことを改めて実感したそうです。

いつにも増して集中していた気がします

演奏家として輝かしいキャリアを持つヌッツォ先生も、学生の頃は、どうして経済学ではなくて音楽を選択したのか、とよく聞かれたそうです。「確かに音楽が仕事になるのかという疑問はあったけれど、友人がオペラ歌手になってヨーロッパで演奏活動をするように勧めてくれたことや、先生が『君ならできる』と励まして下さったことは大きな支えだった」と仰っていました。

ヌッツォ先生は自分を演奏家の道へ導いた先生がしたことは、教育者としてとても重要なことだと考えているようです。つまり、ヌッツォ先生が将来演奏家になれるだけの素養をもっているかどうか見極めたこと、そして、その能力を励まし、育てたことです。一人一人の個性を見極め、育むこと、それが教育者に求められる能力だとヌッツォ先生は仰っていました。

教育者に必要なことを教えてくださいました

一辺倒になりがちな自らの指導法を分析(分解)し、その人にあった指導法や課題を用意する努力、そういう小さな「革命(Innovation)」を起こすことが何よりも重要!と、力を込めていらっしゃいました。

次回が最後の社会人特別講義になります。日時共に未定ですが、わかり次第お知らせいたします♪

執筆者:事務助手 福本カナコ

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