2017年10月2日月曜日

第43回 音楽教育専攻 学内演奏会がありました!!

929日(金)に学内演奏会がありました。99日(土)に行われたオーディションで選ばれた13組の晴れ舞台です!

音楽教育専攻の学内演奏会の特色は何と言っても企画部門です。企画部門とは、あらゆる音楽作品の中から題材を選択し、それぞれ視点でグループ発表を行うことです。発表時には独自の視点で解説を交えながら演奏が行われるので、鑑賞・音楽解釈の点で理解が深まり、今回も目からウロコの発表でした!




今年は
<講義形式による合唱―日本歌曲「花」を題材として>という企画が選ばれました。









作曲者、滝廉太郎の略歴紹介の後、「花」の歌詞に描かれている日本の風景を実際にプロジェクターで映し出し、それをバックに、この少し古い日本語で書かれている歌詞の現代語訳の朗読や、歌詞が生まれた背景等の説明がありました。締めくくりに美しい混声合唱を聞かせてくれたのですが、事前の説明のおかげで、一層心にしみるように思いました。


演奏部門では、イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタのような難曲に挑戦する人が、尾高尚忠のような現代曲を聞かせてくれる人が、様々な時代区分の作品に挑戦し、自らを超えようとする前向きな気持ちが感じられるプログラムが多くみられました。また、西洋に限らず、箏とクラリネットによる宮城道雄の「春の海」も演奏され、耳慣れたものとは違う、少し不思議で新鮮な印象を受けました。

「春の海」を箏とクラリネットで!

尾高尚忠という現代作曲家を演奏しました!
感情豊かに歌い上げました
華やかなショパンが響きました
忘れてならないのは1年生の活躍です。オーディション当日に引き続き、裏方は1年生に協力してもらったのですが、オーディションで仕事の内容を理解してもらっていたおかげで、この日はとてもスムーズに仕事をしてもらえました。

箏の運び方も学びました


学生自ら資料に目を通し、各自で役割分担したり、次に行うべき仕事を綿密に打ち合わせたりしながら、率先してテキパキと行動してくれました。




袖から演奏を見守る1年生





袖で出演者と同じ空気を吸いながら仕事をする。「自分が奏者の立場だったら」「自分がスタッフの立場だったら」と考えるよい機会だと思います。誰かに任せっきりにするのではなく、自らの演奏会を自ら主催する音楽教育専攻の学内演奏会は、音楽教育専攻ならではの魅力あるものだと自負しています。


次回の演奏会は、2018313日(火)を予定しております。卒業実技試験の成績上位者による卒業演奏会です。卒業生の最後の舞台ですのでぜひお越しください!お待ちしております♪





!!集合写真!!

執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年9月27日水曜日

第4回 社会人特別講義 柴崎かがり先生




今回は、イギリスのハダースフィールド大学心理学部において、発達心理学と音楽心理学の研究と教育にあたっている柴崎かがり先生に、「日常生活における音楽の役割について探求する~心理学の視点から」というテーマで、講演して頂きました。






「音楽心理学」は、音楽や心理学のみならず、医学や薬学、社会学、教育学、哲学、人類学など様々な分野と関わり合いながら研究が進められている「interdisciplinary 学際的な」分野だそうです。例えば柴崎先生がなさっている研究の一つに、子どものジェンダーステレオタイプ(男女に関する固定観念)の発達過程に関する研究があるそうですが、この研究も、発達心理学だけでなく、社会心理学、教育心理学や比較文化心理学と、様々な視点を交えながら考察をするそうです。




では、音楽心理学では他にどんな研究があるのでしょうか。

柴崎先生は、病院やホスピス、高齢者施設や集中治療室などに演奏家を派遣してコンサートを行っているイギリスの“Music in Hospitals”(https://mihc.org.uk/about/)という団体と協力して、「医療における音楽の役割」について研究されているそうです。コンサートで音楽を聴いている人の表情や体の動きの変化を調べたり、唾液を採取して成分分析したりすることで、音楽の効果と役割について考察するそうです。

例えば、ある施設にいらしたリュウマチと認知症を同時に発症していたイギリス人の90代のご婦人は、その日は椅子に座ったままで、自発的に体を動かすこともないような状態だったそうです。ところがビデオのなかでは、演奏会が始まってしばらくすると、隣の人の手を握りしめながら笑顔で何か口ずさんでいました。重度の認知症のため言葉を使ってコミュニケーションをすることが難しいそうですが、「楽しかった・幸せだった」と話してくれたに違いないと思わせるような表情をしていました。

つまりこの場合、「音楽を聴くと、心理的、身体的にどういう変化が起こるのか」ということを調査しているわけです。

これまでの様々な先行研究から、

・気持ちが前向きになる
・手足の動きに変化が見られる
・コミュニケーション能力が向上する
・記憶を刺激する
・リラックスできる
・回想する
・痛みが軽減される

というようなことが特に認知症の方々にとっての音楽による心理的・身体的変化として示されているそうです。



一見当たり前のことの様に感じますが、柴崎先生は「音楽心理学の研究において、結果のみに目を向けるのではなく、どうしてそうなったのか、その過程について考えていくことが大切です」と、繰り返し仰っていました。






研究の現場では近年、イギリスでも研究成果の社会還元が強く望まれるようになり、例えば音楽が若者のアイデンティティの形成や発達にどのように影響しているのか調査し、研究結果を社会や地域で共有すると言ったお話しもありました。今まさに、日本で求められていることのように感じました。


海外の研究現場で活躍する方ならではのお話しに接することができるのは、この社会人特別講義の魅力のひとつです。次回は1025日(水)です!またご報告します!!

執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年9月24日日曜日

オープンキャンパスがありました!

923日(祝・土)は、秋晴れの空の下、オープンキャンパスが開催されました。お越しいただいた皆さま、ありがとうございました!


大学全体についての説明会、ヴァイオリン・ピアノ・声楽の公開レッスン、大学/付属高等学校の個別相談会、そして在学生によるウェルカムコンサートが催されました。私たち音楽教育専攻も、40分という短い時間ではありましたが、説明会を行いました。

昨年度の人数を参考に、あらかじめイスを30脚ほど並べておいたのですが、今年は開始時間が迫るにつれて受験生がどんどん増え、椅子を出しても出しても足りず、なんと最後には立ったまま聞いて頂かなくてはならないほどでした。最終的には予想を超える75もの方にご参加いただきました。

ぎゅうぎゅうでした!

音楽教育専攻ならではのカリキュラムの特徴、応用音楽教育コースと実技専修コースとの相違、卒業後の進路などについて、スライドを用いて説明を行いました。さらに今回は大学院 音楽教育研究領域 修士1年に在籍している本専攻の卒業生が、自らの学部時代についてお話ししました。学生の視点からの話を聞くことによって、より具体的に学生生活をご理解いただけたのではないかと思います。

暑かったです!









来たる冬期講習でも説明会を行う予定です。日程は1225日(月)13001400 A地下100教室】となっております。今回のオープンキャンパスにお越しいただけなかった方は、次回、ぜひご参加下さい。お待ちしております♪

執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年9月12日火曜日

夏期集中講座「楽器学入門」がありました!

2017年9月4日(火)と5日(水)に夏期集中講義「楽器学入門」がありました!!

音楽教育専攻では、毎年この講義で集中的に楽器の構造、音の出る仕組みについて学びます。

◇1日目◇
講師:斉藤信哉先生
テーマ:「ピアノの歴史と音律」「ピアノを分解する!」

初日は鍵盤楽器の代表格、チェンバロとピアノを扱いました。

みんなでピアノを囲みます
チェンバロも一部解体したり、ピアノはアクションと呼ばれる鍵盤と打弦部の仕組みを引きだして見せて頂いたりと、日頃滅多に見る機会のない光景に、受講生も興味深々の様子でした。

一通りの説明が終わった後、学生は一人ずつチューニングハンマー(ピアノ線を巻きつけているピンにはめて音程を調節する道具)をもち、実際に調律を体験しました。上手くピンを回せずに苦労する人もいれば、サラッっとやってのけてしまう人など様々でした。簡単そうに見えて実は難しいこと、全部で230本前後の調弦をすること等、受講生全員から思わず「おお・・・!」と言う声がもれていました

これがチューニングハンマーです
全く動かせませんでした!
ハンマーの動かすコツを教わります
「左手で音は出し続けてね」「あ!はい!」




◇2日目◇

テーマ:「管楽器の種類」「木管楽器と金管楽器の発音原理と構造」

2日目は管楽器でした!



大きく、木管楽器・金管楽器の違い、構造、さらにリード有り・リード無し、リード有りの中でさらにシングルリード・ダブルリード・エアリードの違い、各楽器のキーシステム(指の押さえ方)、などについて学びました

講義の最後に、受講生全員が実際に音を出してみるという体験をしました!!この日お持ちいただいたのは、フルート、クラリネット、ファゴット、トランペット、ホルン、サックス、トロンボーンだったのですが、見ていると、フルートが意外に難しく、サックスが出しやすいようでした顔が真っ赤になるほど吹いてみたり、早々に諦めて管楽器を専攻している人にコツをきいたり、と一人一人真剣に取り組んでいました
専攻してる楽器を教え合うことも
 
ふっ!?(鳴らないぞっ!!!?)



キーを押さえてみたい!

銀色のクラリネットがあるって知ってた?


 
どのくらいの音が響いていたか想像つきますか(笑)
トランペットかっこいいのに…!

執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年9月10日日曜日

学内演奏会オーディションが終わりました!

99日(土)に、音楽教育専攻学内演奏会のオーディションが行われました。

私にとっては、とても緊張する長い一日だったのですが、先生方や裏方仕事を担当していた学部1年生の協力のおかげで、滞りなくオーディションを終えることができました。演奏部門、企画部門共に舞台上でのトラブルもなく、無事に合格者の発表にこぎつけることができて正直ホッとしています。

裏方仕事というのは、文字通り「裏」の仕事なので、目立ったり、時間がかかったりしてはいけません。舞台上の楽器や譜面台・椅子等の配置を決め、移動させる手順を確認したりと、忙しく準備を整えた後、実は息を潜めて「待つ」というのも大事な仕事のうちだったりします。





今の大学生は「待ち」に入るとサッと携帯を取り出し、それこそ身動きもせずにじっと画面に集中しています。見事です。それでも時間を持て余すと、事情が許せば、セッティングを終えたピアノを弾いたり、自分の楽器を取り出してみんなでチョコッと合奏したり。そんな様子を見ていると、みんな本当に音楽が好きなんだなぁっとしみじみ感じます。





一緒に仕事をしながら小耳に挟んだ話によると、先日の集中講義「楽器学入門」でピアノの解体の授業を受けた1年生が、自宅のピアノを解体し、大騒ぎになってしまったそうです。舞台上でピアノを弾く学生の隣に、ピアノの中のハンマーを見ているクラスメートもいるのは、とても面白い光景でした。








来年は裏方を担当した1年生もオーディションを受け、舞台を目指します。きっと素晴らしい演奏を聴かせてくれることでしょう。

執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年8月15日火曜日

平成30年度 音楽教育専攻の入試説明会を行いました!

皆さま、夏休み、いかがお過ごしですか。

東京音楽大学は、8/1から8/4まで夏期受験講習会を行っていました。毎年この講習期間中に音楽教育専攻の入試説明会を行っているのですが、今年はなんと13人も来てくださいました!嬉しいです!!

例年以上の数の受験生が来てくれてとても嬉しかったです!

音楽教育専攻の授業の紹介、応用音楽教育コースと実技専修コースのそれぞれの特長、音楽教育専攻主催のイベントの紹介、卒業後の進路などについて一通り説明した後、個別相談の時間を持ちました。

みなさん、とても悩んでおりました(´・ω・`)




受講生からは、「教育者になりたいと言う揺るぎない目標があるのですが、勉強だけではなく実技もしっかりと学ぶにはどうしたらよいですか」「音楽漬けではなく、教養もきちんと身に付けたいのですが、応用と実技専修とどちらがよいでしょうか」「音楽教育専攻とピアノ専攻は併願可能ですか」「英語の試験が不安です…」など様々な悩みの声が聞こえてきました。




高校1、2年生はまだ余裕があるように見えますが、高校3年生の表情は真剣そのもの!でも大丈夫です。まだ時間はあります。精一杯自分ができる努力をして4月に笑顔で再会できたらと思います!

受験生の皆さん、がんばって!!!

執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年7月20日木曜日

第3回 社会人特別講義 元田健太郎先生

先週の水曜日に第3回社会人特別講義がありました。

今回は、ヤマハ音楽振興会の元田先生と、音楽教室で実際に指導をされている大前先生をお招きして「音楽の歓び、楽しみを、伝える仕事」というテーマで講義をしていただきました。

まずは自己紹介から



ヤマハと言えば、CMで流れる「♪ドレミファソーラファッ、ミッレッドッ!ソーファミッソファミレッ!ソーファミッソファミレッ!ドレミファソーラファッ、ミッレッドッ♪」でお馴染みの音楽教室で有名ですね。








そしてそのヤマハ音楽教室最大の特長は、未就学児向けのグループレッスンを行っていることです!!

メロディー暗唱の体験レッスン♪




実際に学生5人に、クリスマスの定番ソング「おほしがひかる」を使った5歳児のクラスを体験してもらいました。









大前先生曰く、興味がないと先生の歌・話を聞いてくれないので、集中させるために「歌詞をよく聞いて何色の星が光っているか考えてみてね」と歌う前に質問をするそうです。そして、先生が一通り歌い終わったら、最初の質問に答えてもらいます。そして次にドレミで歌います。先生が1フレーズ歌って「ハイ」と言ったらそれを『マネ』させます。今回はここのドレミで歌うことまでしか行いませんでしたが、実際はこの次に鍵盤で実際に弾いて、音高と音名が一致するようにします。これを8週間続けます。そうすることで、旋律・リズムが身体に沁みつき、スタカートなどのニュアンスを自分で変える(音楽性を高める)ことができるようになるそうです。

大前先生の美声が響き渡りました…!


幼児役になった学生からは、「先生との距離が近い」「相手の目を見て歌っていたのがよい」「ほどよいテンポ感」「みんなで歌えて楽しかった」などの感想がありました。ヤマハが心がけていることが伝わっていると思われたのか、元田先生も大前先生もとても嬉しそうでした。








何でもないことの様に思えますが、こうしたひとつの指導スタイルを作り上げるには、長年にわたる現場の課題の分析や試行錯誤が必要不可欠だったそうです。「10年後、子供だけでなく自分もどう成長していたいか」を考えて、いろいろなチャレンジをして欲しいと仰っていました。

ところで!あっという間に前期が終わりに近づいてまいりました…!後期は、社会人特別講義の他にも、夏期集中講義の「楽器学入門」や、音楽教育専攻の授業紹介などもしていけたらと思っています。

乞うご期待!!!!

執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年7月3日月曜日

いよいよ始動します!

6/22に音楽教育専攻のイベントの目玉である「学内演奏会」の申込が締め切られました!

これは昨年度のチラシ!

2台ピアノがあったり、箏とクラリネットのアンサンブルがあったり、実に19名が『演奏による』オーディションを受ける予定です。
…『演奏による』ってどういうこと?と思いましたね!

音楽教育専攻の学内演奏会には『演奏部門』に加えて『企画部門』があるのです!!いわゆるクラシックのコンサートの枠に収まらないアイディアをこちらで披露することができます。今までには、鍵盤ハーモニカや、リコーダーによるアンサンブルがありました。

…「なぁんだ」っと思った人いませんか?


このグループは、小学校で誰もがやった楽器で、誰もやったことのない演奏を披露してくれました。演奏会後も、作曲専攻の学生に委嘱作品を書いてもらったり、聞いて楽しい、見て楽しい様々な演奏会を企画・主催してくれました。



昨年度の『企画部門』は残念ながら募集は0だったのですが、今年は1応募がありました!どのような発表をするのか気になります

このオーディションに勝ち残ると、本学最大のホール、A館100周年記念ホールで演奏することができます!!!学生でも、卒業試験以外でこの場所で演奏するには、このようなオーディションを受けなければなりません。音楽教育専攻でも、勉強と同じくらい楽器演奏をがんばっている学生にとって、このホールで演奏できる機会があるのは、とても嬉しいことだと思います!私も在学中に1度演奏することができました。気持ちよかったです。

オーディション日は、夏休み明け最初の土曜日、9/9()です。夏休みの間に一生懸命練習するであろう学生に負けないくらい、準備を私もがんばりたいと思います!


執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年6月22日木曜日

日本音楽表現学会を共催

御校で主催する学会はこれで2種類目!





音楽教育専攻は、617日(土)と18日(日)に日本音楽表現学会を共催しました。大学内の施設を一部お借りして、学会の研究発表や物品販売を行いました。










黄色に青字もありました




音楽教育専攻の学部の学生数名と、修士・博士課程の学生全員全員がスタッフとしてお手伝いをしたのですが、当日は、こんなポロシャツ(JAMSは「日本音楽表現学会」の英語表記の略称)を着て、走り回っていました。







共同研究発表 リハーサルの様子








私が担当したのは、博士課程の学生5人と先生方4人による<ヴィブラート>についての共同研究発表でした。










学生は、尺八・サックス・声楽(2名)・チェロのヴィブラート奏法についてそれぞれ発表し、先生方からは、トランペット・ピアノ・声楽・音楽学の観点からお話を伺いました。ヴィブラートを「かける」のか「かかってしまう」のかという、とても繊細な違いや、尺八に関しては、奏法上どこをヴィブラートと捉えるかが難しいなど、とても興味深い発表でした。

2017722日(土)には、日本音楽マネジメント学会の夏の研究会が東京音楽大学で開かれます。こちらの準備もまた始まろうとしています。

<日本音楽芸術マネジメント学会 第9回夏の研究会 シンポジウム《新・文化庁の文化芸術戦略を考える》>についての詳細は下記URLをご覧ください。

執筆者:事務助手 福本カナコ

第2回 社会人特別講義 宮田順子先生

第2回目は、6月7日(水)にあり、今回のテーマは、『これからの働き方~音楽+α~』でした。

講師の先生は、<パラレル・ワーク>と称して、2つの職業をどちらも本業としたライフスタイルを実現されています。声楽家として演奏活動や声楽やピアノの講師をなさる一方、税理士資格保有者として会計事務所にお勤めです。「演奏家として生きるなら、それに専念する。」「仕事を取るなら、音楽はアマチュアとして活動する。」など、どちらか一方しか仕事にはできない、と思いがちですが、世間ではこのようなスタイルが浸透しつつあると先生は仰っていました。
 
初めて聞く<パラレル・ワーク>の世界とは…?
突然ですが、皆さんに質問です!

Bさんの歌のリサイタルの経費は以下の通りです。500席のホールでのリサイタルですが、いくらのチケットが何枚売れれば採算がとれるでしょうか。

◎経費一覧
ホールの貸借料(付帯設備、グランドピアノ使用料含む)    350,000
ピアノ伴奏代                                                                       200,000
チラシ・プログラム印刷代                                                    300,000
その他諸経費                                                                          50,000

こちらは、講義の途中で小さなグループになってそれぞれに考えてもらった課題の一つです。ちなみに私は、これらの経費が自己負担にならなければいいと考えて料金設定をしました…
小グループに分かれて話し合い中

学生の様々な答えに対して先生は、「そもそもなぜ採算をとる必要があるのか」「その利益は何に使うのか」と質問されました。学生は、「打ち上げ代に回します」「次回の演奏会の経費に回します」などと答えていました。

皆さんは、何に使いたいと考えますか?

学生さんにも発言してもらいました










そして、学生による発表後の先生の言葉にハッとさせられました。それは・・・、









音大生の「当たり前」を覆した瞬間



誰も人件費と言いませんでしたね。誰もその利益をギャラとしてBさんに支払うと言いませんでした。この質問で考える時にもっとも大事なことは、自分がプロとしてギャラをいくら取るのか。自分に見合う報酬がいくらかを考えることです。聴衆も満足し、自分にも利益がある値段を考えることなのです。


私自身、自分の演奏会のチケットが高すぎては誰も来てくれないものだと思っているので、ホール代などの経費が自己負担にならないようにさえすれば、報酬がなくても構わないと考えていました。聴衆がいて、演奏さえできれば満足で、自分の利益や人件費については1ミリも考えていませんでした。自分がギャラを取るなんて無理」と最初から諦めて演奏会を主催・企画している音大生・音大卒がいかに多いかということがはっきりとわかった瞬間でもありました。

目からうろこの一幕でした…
先生はこのお話を通して、税理(お金)の仕事が音楽とは全く無関係ではないということを伝えたかったのだと思います。そして、税理士の資格を得て、演奏する面からしか見えていなかった視点が、経費の視点からも見られるようになり、視野が広がったとも仰っていました。まさに目からうろこの一幕でした。

次回は、712日です。講義内容は未定ですが、楽しみです!

執筆者:事務助手 福本カナコ

2017年6月1日木曜日

第1回 社会人特別講義 加藤牧菜先生

2017年度が始まって早3か月が経とうとしています。そろそろ梅雨が始まるのでしょうか。湿度が高くなってきました

さて!音楽教育専攻では、年に56回不定期で学外から講師をお招きして自分たちのキャリアについてお話し頂き、学生たちが自身の将来について考える機会があります。今回は、加藤牧菜先生をお招きして、「自分の手でコンサートを作る」というテーマでお話し頂きました

先生の現在のご職業は、演奏会を主催、企画、時には司会進行までなさる音楽プロデューサーですが、もともとは筑波大学で生命倫理学を修め、博士号まで取得なさったバリバリの理系女子ですそんな先生がどうして音楽の世界へ飛び込んだのか、「自分の手で」コンサートを作ると言うのはどういうことか等について伺いました。終始笑いの絶えなかった当日の雰囲気をお伝えできず残念ですが、ここでは「集客」についての先生のお話しを簡単にご紹介したいと思います

* * * * * * * * * *  
突然ですが、皆さんはご自身の演奏会の為にどのようにしてお客さんを集めますか

例えば、素晴らしいコンクール歴を持ち、一流のオーケストラに所属し、技術も音楽性も申し分ないのに、自分の演奏会にお客様を20人呼ぶのがやっとということがある一方で、有名でもなければ小さいころから音楽をやっていたわけでもないアマチュア奏者が、リサイタルをするというとチケット約200枚が完売することがあります。

どうしてでしょう

実は、その200人のお客さまは、演奏するのが「その人だから」来て下さったのですつまり、奏者本人が人を呼んでいるのです。音楽プロデュースの現場では、「名人よりも近くの未熟」の方が、集客力が有ったりするものです。自分に自信が無くてもいいのです。未熟ながらがんばっている姿を人に見せることで応援してくれる人ができます。その人たちがあなたの応援団となり、サポーターになって下さるというわけです。この場合、大衆向けの大きな広告よりもはるかに口コミが効果的だそうです。「よかったわよ」と一人のお客さんが友達に伝えて、次はその友達と来てくれるかもしれません!


では、「集客」って口コミに頼ることなのでしょうか

仮にある人に友人、知人が全部で100人居たとします。その内音楽が好きな人が50人、音楽が好きな人の中で自分の演奏会に来てくれる人が15人だったとします。お客様を増やそうと思って、音楽が好きな50人にPRして自分の演奏会へ全員に来てもらうようにすることは実は簡単ではありません。むしろできないと思った方が良いです。音楽と一口に言っても、それぞれに個人的な趣味があって、彼らの趣味・嗜好を変えることはできないからです。

では、どうするか

不思議なことに、この1005015という割合は人によってある程度固定しています。ですから、元になる母体を大きくする、要するに、友人・知人を増やせば、自然に音楽が好きな人が増え、自分の演奏会に来てくれる人が増えるという仕組みです。これが、私が200以上の音楽会を企画した結果得られた法則です。ですから皆さん、あらゆる機会を通じて、まずは友達の輪を広げましょう!!演奏家は練習室にこもって練習しているだけではダメなのです!!!
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演奏会には聴衆が欠かせません音大生が自分の演奏会を企画することはよくあることですが、「自分の手で」集客して初めて「自分の」コンサートと呼べるのだと言う加藤先生のお話は、重いものがありました集客の大切さと難しさを一度に学べた講義でした!


次回の社会人特別講義は、67日(水)に「これからの働き方+α」というテーマで、宮田順子先生をお招きして行います。加藤先生とは全く違う経歴をお持ちの方なので、どのような講義になるか今から楽しみです

2017.06.01 音楽教育研究室