第5回 社会人特別講義 久保田慶一先生

更新が遅れてしまいましたが、10月下旬にあった最後の社会人特別講義の様子をお伝えしたいと思います!

この日の講師の久保田慶一先生は、J.S.Bachの次男C.P.E.Bachを中心に18世紀のドイツ音楽史を専門に研究されている正統派の音楽学者です。それだけでなく、筑波大学大学院では『キャリア教育』について学ばれ、今回このような形で私たちにその成果を伝えて頂くことになりました!



お話は大きく3ありました。
1. 「キャリア」とは何か
2. 「仕事をすること」と「キャリア」の関係
3. 「キャリア」をデザインするということ

「キャリア」とは、語源を辿るとラテン語のcarus(=馬車の輪達)だそうです。そのため、先生はキャリアcareerのことを人生の軌跡だと説明されていました。

「キャリア」が人生の軌跡なら、生きてきた過程とも捉えることができます。さて、生きていくためには働かなければなりません。現代社会の働き方には、雇用されて働く正社員・派遣社員・非正規労働者(パートやアルバイト)と、雇用されない個人事業主(フリーランス)と大きく4つあるそうです。

では、音大生はどのような仕事の仕方・働き方があるのでしょうか。
1. 芸術「で」生きる・・・自分の芸術活動で収入を得る。
2. 芸術「に」生きる・・・だれかの芸術活動を支える仕事をして収入を得る。
3. 芸術「と」生きる・・・収入は他の仕事で得て、芸術を楽しむ、サポートする。
3つのライフ・スタイルが考えられると先生は仰いました。

「正規、終身雇用」だけが私たちの幸せだと、これまでのキャリア教育では言われてきました。ですが、十人十色、人それぞれに仕事への姿勢は違うし、生き方があります。芸術「で」生きるのか、芸術「に」生きるのか、芸術「と」生きるのか。音大生は卒業後どうするのかを考える時に必ず直面する問題です。どの選択肢も間違いではありません。ある時は芸術「で」生き、ある時は芸術「と」生きてもよいのです。迷ったら立ち止まり、時には後ろに下がってみて、自分で考えながら進んでみてほしい、と力強く仰っていました。

これからは【人生100年時代】と言われています。生きていく上で、お金に替えられないもの、健康や教養が大事になってきます。私立大学の学費は高いですが、それは今20歳の学生にとって、残りの80年を確実に豊かにしてくれるものです。どんなところで役に立つかは「今」は分かりませんが、興味が無くとも、つまらなくとも、実学的じゃなかったとしても残りの人生の為の自己投資と思って吸収してほしい、と学ぶ姿勢の大切さを説いておられました。





最後に、先生は必ず「キャリア教育」を行う際に伝えている言葉があるそうです。

「海に沈まないようにライフジャケットは着よう」

学生の周りを歩きながら講義してくださいました

ライフジャケットがボロボロで穴だらけなものになるか、きちんと機能したものになるかは、この4年間の取り組み方によって違ってくるということです。心に刺さる印象的なお言葉です。

さて、この講義をもって年内の社会人特別講義はすべて終了しました!「自分の将来を考えるきっかけになるように」と様々な職種・職業の方をお呼びしてきました。進路に悩んでいるという学生から、とても参考になり嬉しかったというメールが送られて来ました。学生の背中を押せたとしたら私も嬉しいです。

講義終了後に熱心に質問していました

来年度の社会人講座も楽しみです!

執筆者:事務助手 福本カナコ

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