第1回 社会人特別講義 稲森訓敏先生

講義は問いかけから始まりました…
新年度も早2か月が経とうとしております。いかがお過ごしでしょうか。

皆さんお待ちかねの【社会人特別講義 第1回目】が、先日無事に終わりました。その講義についてお伝えしたいと思います!

今回は、リュシーメソッド代表の稲森先生にお越しいただきました。
リュシーさんはこんな方
さて、皆さんは、なぜ楽譜にはfやpが有るのか。Cresc.の場所はなぜこの場所なのか。アクセントはなぜこの位置なのか…など疑問に思ったことはありませんか。悶々と悩んだ人もいるのではないでしょうか。

その答えは「リュシーメソッド」を知れば少しは解決するかもしれません。

…恥ずかしながら、わたしは先生のお話を伺うまでは、マティス・リュシーと言う人物すら知りませんでした。




音楽表現の根拠となる音楽分析は、昔も今ももっぱら和声学などの音楽理論に基づくものが主流です。ですが、先生は、研究を続けるうちに、音楽を表現する/演奏をするにあたって、和声学的な分析だけでは不十分だと感じるようになったそうです。そして、出会ったのが「リズムの観点」から表現を研究するリュシーメソッドだったそうです。時間の都合上、先生がリュシーメソッドに出会った経緯を詳しく伺うことはできませんでしたが、その代わりに、たっぷり90分間、ピアニストの細川瞳さんにご協力頂いたワークショップを通して、リュシーメソッドについて学びました。

講義前にまっさらな状態で学生に弾いてもらいました!
(1) 表現を生み出す大本のリズムを探そう 
(2) 拍子の運動を感じよう
(3) リズムの運動を感じよう
(4) 表現的な音を感じよう
(5) ルバートを感じよう
(6) 強弱を感じよう 

の6つのステップを通して、実際にブルグミュラーの「スティリエンヌ」を分析しました。その結果が下の写真のようになります。

稲森先生作
これらの分析結果を、項目ごとにピアニストの細川さんが実演してくださいました。

指揮を使って視覚的にも表現して下さいました
そのおかげで、分析が表現に結びついていることがよくわかりました。わたしたちが普段何気なくそう感じたから、と言って【感性】に任せて演奏していた事柄には確かな根拠があったのです。最後に先生は「生き生きとした演奏には、理由が有るのです」と仰っていたのが、個人的にとても印象的でした。




次回は、6月27日(水)にハワイ大学のポール先生をお呼びして、ハワイでの音楽教育についてお話し頂く予定です。

執筆者:事務助手 福本カナコ

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